お世話になります。
水道屋の江頭です。
暑くなってきましたね。
工事がつらくなってくる時期でもあります…
さて今回は井戸ポンプの故障のご依頼です。
おかげさまで井戸のお問合せは非常に多くいただいております。
(2022.5時点)
その前に余談ですが、材料費の高騰がすごいです…
なぜ値上がりしているのかは、さておき、ちょっと上がり方がすごいですね…
便器や井戸ポンプ本体の価格はもちろん、パイプやバルブなどの管材も全て値上がりしています…
ある住宅メーカーの営業マンが、資材が以前と比べて2割値上がりしたから3000万で建てることができていた住宅も3600万に値上がりしている。
購入を急がないと今後さらなる値上げが待っていると言っていました。
でも値上がりしているのは、原価の分だけだから、総額の2割も値上がりしないんじゃないかな…
と、便乗値上げをしているところもチラホラありますので、気を付けたいところです…
確かに資材やガソリンは値上がりはしましたので、さすがにお値段据え置きというわけにはいきません…
ですが価格があがるのは、あくまでも原価の分だけです。
利益も値上がりしたんじゃお客様はたまりませんよね…。
見積の際には、そのあたりは正直にお応えしますので何なりとご質問くださいませ。
余談でした。
ポンプから水が出ない?
さて今回は井戸ポンプの故障です。
お宅のホームページ見たばってん、どうもジェットがおかしいごたる。
あらジェットですか…呼び水しても抜けますか?
そうそう。もうバケツ何杯いれたかわからん。全然呼び水のいっぱいにならんもんね。
うーん…じゃあ間違いないでしょうね…
困ってネット検索したら、江頭さんのところが出てきてね。まさにこの症状やんって(笑)
もしよかったら交換してくれる?
はい!もちろんです!喜んで!適合のジェットを調べますのでお伺いしてもいいですか?
うん。よろしくね。
ご訪問の前に
ありがたいことに、お客様はホームページをご覧いただいたとのことです。
ある程度、何が不具合を起こしている原因かと判断されていました。
さすがです…
「どうもジェットがおかしいごたる」
↑なぜお客様はジェットがおかしいと考えたのでしょう?
そもそもジェットというのは、井戸ポンプが水を吸い上げるためのパイプの先端についている部品です。
なかなかイメージできないとおもいますので、写真を貼ります。
この黒い部品が「ジェット」です。
吸い込みパイプの先端についていますので、普段は地下数十メートルの水中で活躍している部品です。
ちなみに浅井戸ポンプの場合このジェットは必要ありません。
なぜなら浅いところから水を吸い上げるからです。
一方、深井戸ポンプの場合は深いところから、水を吸い上げなければなりません。
ポンプの力だけでは深いところから水を吸い上げることができませんので、それを補助するのが、このジェットなんですね。
ではジェットが機能しなくなると、どうなるでしょうか?
答え→ポンプから水が出なくなったり、水を使用していないのにポンプが断続的にポンプが空回ったりします。
今回のように、「呼び水」といってポンプの中に水を満水になるまで注入するという作業をするのですが、呼び水を入れても入れても満水にならない場合は、ジェットが壊れています。
ジェットの不具合は他にもあって、ポンプは正常なのに、水が出ない時はだいたいジェットが悪いです。
という理由でお客様はジェットは悪いと判断されたようでした。
ポンプとジェットはセットで交換したほうがいい?
今回はあらかじめジェットが悪いとのことでしたが、そうではない場合もポンプの調子が悪い場合は「ジェットの交換」も併せて提案をするようにしています。
ジェットが悪いだけなのに、ポンプも交換すると?ジェットだけでよかろうもん。
まあ…そうなんですが…以前にこんなことがありまして…
私も、以前はポンプが悪いならポンプだけ修理すればいいだろうと思っていました。
わざわざ悪くもないところを交換して、お客様の金銭的負担を余計にかける必要はない。
交換するのは悪いところだけでいい。
そう思っていました。
ところが、ある現場でポンプを新品に交換しても水が全く出ないという事件が起きました。
調べても調べてもどこが悪いかわからない…
消去法で、もうジェットが悪いとしか考えられないという結論に至り、ジェットを交換したところ無事に出るようになったということがあったのです。
お客様は、怒り心頭です。
江頭さんはポンプだけ交換すればいいって言ったよね?夕方には水は使えるといったのに、明後日まで水が使えないってどういうことよ?
ご意見はもっともです…
とてもご迷惑をおかけしてしまいました…
大変申し訳ございませんでした。
しかも立て続けに2回も同じようなトラブルが起きたのです…
それ以来、ポンプの交換のお仕事をいただいたお客様に対しては、セットでジェットの交換も提案するようになりました。
もちろん、無理にというわけではありません。
お客様にはご予算があります。
ポンプを新品に交換しても、水が出ない時もたまにあるよとご認識いただけるれば、それでいいのかなと思います。
よくありがちなパターン
このポンプ使用してどのくらいですか?
そうやね、もう15年になるかいな…
ジェットも15年ですか?
え?ジェット?ジェットは…
ごめん、わからん。
ジェットの使用年数を把握していらっしゃる家主様は滅多におられません。
普段目に見えない部品で馴染みがないので、ジェットをいつ交換したかなんて、みなさんご存じありません(ポンプ本体の交換時期は割とご存じです)
自然に考えて15年以上、前のポンプからさかのぼれば30年以上ジェットはそのままだという可能性も十分考えられます。
やはりポンプと同じタイミングでジェットも交換したほうが無難だと思います。
ちなみにジェット交換の費用はおおよそ10万円程度です。
交換の現場
たしかに、ポンプの相当古いし、一緒に交換したほうがわかりやすいか…
今後のことを考えると安心して使っていただくのが一番だと思います。ジェット交換なんて滅多にするものではありませんから。
わかった。
そしたら、交換をおねがいします。
奥に見えるのが井戸から引き抜いたパイプたちです。
さすがに引き抜いているときは慎重にしなければなりませんので写真を撮ることができません。
万が一パイプを井戸に落としてしまったらどうなると思いますか?
答えは、
「井戸の掘り直し」
です。
ジェット交換作業というのは、失敗すると最悪井戸を掘りなおさなければならないリスクを抱えています。
だから、すごーーーーーく慎重に慎重に作業しなければならないですし、ものすごく怖い作業になります。
そのため費用もそれなりにかかることをご理解いただければと思います。
余談ですが、先日ご自身でパイプを引き上げた結果、パイプを井戸に落としてしまったと相談がありました。
試行錯誤パイプを引き上げようと2日に渡ってチャレンジしましたが、結局無理だったため、井戸を掘りなおすことになってしまったお客様がいらっしゃいました…
すみません余談でした…
ちなみに、七つ道具の一つ。
「電動パイプカッター」です。
一度に何十メートルのパイプを引き上げることはできませんので、引き上げては切り引き上げては切りのくりかえし作業をします。
その時に活躍するのが電動パイプカッターです。
素早くパイプを切ってくれるのでとても便利です。
ちなみにジェット交換でしか電動は使いません。
その他は手動で十分だからです。
これが元々取り付けられていたポンプです。
パイプを引き上げて、古いポンプを撤去しました。
手前の穴が井戸ですね。
すでに新しいポンプを据えています。
横から見るとこんな感じです。
これから井戸にパイプを入れていきます。
引き上げるときと同様、落としてしまったら一巻の終わりです。
七つ道具の2個目、手作りの金具です。
パイプを出し入れするときに、これにパイプを引っかけて作業します。
これがないとジェット交換は絶対に無理です。
井戸屋さんなら誰でも持っていますが、市販はされていません。
新しいジェットと古いジェットです。
金具にパイプをひっかけながら、ゆっくりとおろしていきます。(慎重に慎重に)
井戸にパイプを入れたら、それをポンプに接続して完成です。
今回は20メートルパイプをいれました。
パイプの規格は一本4メートルですので、5本継ぎ足しながらパイプをいれました。
作業は慎重を極めるため、途中の写真が抜けていますが、ご理解いただければと思います。
無事水が勢いよく出るようになりました
おお!水が出てきた!しかも勢いがいいね!
だいたいポンプを交換すると、水の勢いは強くなります。
すごく喜んでいただけました。
よかったです。
今回の費用はポンプが12万円とジェット交換が10万円でした。
井戸でお困りの方はご相談ください。