お世話になります。
水道屋のえがしらです。
さて今回のご相談は、井戸ポンプの故障です。
どういった故障なのでしょうか?
ポンプのモーターは回っているんです。
はい。
でも蛇口をひねっても水が出てこない。リセットボタンを押すか呼び水をいれると復活するんです。
出たり出なくなったりの繰り返しなんですね。
ええ。その通りです。
現場調査に伺いました
このポンプなんですが…
川本さんのカワエースジェットですね。
ポンプのメーカーはいくつもありますが、棲み分けがあります。
家庭用ポンプで多いのは
●川本
●テラル
●日立
あとはテラダとかエバラとか。
ツルミとかイワキとかもありますが、工業用に多く家庭用はもっぱら川本、テラル、日立がほとんどです。
大昔はナショナルや三菱などもあったようですが、いまはポンプ事業から撤退しています。
さて、今回のお客様のポンプは名高い「川本製作所」のカワエースジェットというポンプです。
川本さんのポンプは異常があったらエラーが出るように設計されており、修理のときにエラーの出方を見れば修理箇所の目安になります。
エラーの種類はたくさんあります。
例えば、モーター内のセンサー異常や、水位低下または渇水、漏水などがあります。
今回お客様が
呼び水をいれると復活する
とおっしゃっていましたので、
吸い込み配管のどこかから水が漏れているのかなと予想していました。
ちなみに呼び水というのはポンプを運転するときに、ポンプにいれる水のことをいいます。
↑このことです。
ポンプと吸い込み配管は満水にしなければなりません。
そうしないとポンプが水を汲み上げてくれないんですね。
ですから、満水になるまでポンプ側から水を入れてあげて満水にする。
これを呼び水といいます。
ポンプ本体に呼び水を入れるキャップがついています。
水がでない原因はジェット
仮に配管に亀裂が入る、あるいは接着が甘くて配管の継ぎ目に隙間があるといったトラブルが起こったとします。
すると、そこから水が漏れたり、空気がはいったりするわけです。
満水だった配管から水は抜けてしまったり、あるいは真空だった配管に空気が入ってしまったりすると今回のように水を吸い上げなくなってしまいます。
復活して、通常運転に戻る状態があるということは
●症状はまだ軽いが、時間が経過したらダメになる
●ポンプ自体は悪くなっていない?
という予想できます。
エラーの内容ってなんだったんですか?
渇水ランプがついていたので、吸い込み配管側のエラーです。リセットボタンでも回復していたってことはないですか?
その通りです!高齢の母はとりあえずリセットボタン押したら復活するからって何回も押してました。
でも最近は頻繁に水が出なくなるので、ボタンを押す回数も増えていたんです。
これはもう、ジェットあるいは吸い込みの配管が悪いということだろうと思います。
お客様に事情を説明さしあげ、できればポンプも一緒に交換するようにおすすめしましたが、予算の関係上、今回はジェットのみの交換ということになりました。
おそらくこれで正常運転にできると思います。
ただしお伝えするときのニュアンスには気を遣います。
今回のケースではジェットが原因だという可能性が非常に高いですが、ポンプも悪くなっているという場合もゼロではありません。
例えるなら降水確率10%みたいな感じでしょうか…
それってほぼ晴れじゃないかって思うんです。
ただ天気予報士からすると、自然のことだから万が一のこともあり得るかもという感じだと思います。
それと同じで、
これは絶対ジェットが悪いからジェットを交換すれば大丈夫です!
なんて言いきってしまうと、少し軽率だと思うんです。
そのあたりのニュアンスをお伝えするのは難しく、断定しすぎてもいけないし優柔不断すぎてもいけません。
そのあたりは気を遣います。
工事開始
配管が劣化しています。
配管は日にあたらなければ劣化は遅いのですが、写真の配管はカバーがはがれ日があたり脆くなっています。
これが引き抜いた配管です。
水に浸かっていた配管はそうでもないのですが、そうじゃなかった配管は汚れています。
これが新しい配管です。
今回の現場では土地は広かったので、一気にパイプを入れる方法を選択しました。
写真がジェットですね。
これを新しくします。
ジェットは問題があるとポンプが水を吸ってくれなくなるので重要な部品です。
矢印が見えますでしょうか?
矢印が上に向かっているパイプと下に向かっているパイプを2本あります。
上矢印を「吸い込み管」
下矢印を「圧送管」
といいます。
これを逆に取り付けると、正常に動かないので吸込と圧送を間違えて取り付けないように目印をつけておきます。
ジェットを突っ込んだ後で、どっちかわからなくなって
しまった!どっちかわからん!
という失敗も過去ありました…
バルブソケットをつけます。
横引きのパイプが凍結しないように、且つ日に当たらないようにカバーをきちんと施します。
無事に水が出るようになりました!
ここまできて、やっと
結論「ジェットが悪かった」ということになります。
予想通りでホッとしました…よかったです。
今回かかった費用はおおよそ10万円です。
御見積大歓迎です!
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